スマホでの撮影で失敗しない方法の part3 です。
スマホで撮影すると意に反して明るく写ってしまったり、暗く写ってしまうことってありませんか?
そこで今回は露出とホワイトバランスについて書いてみます。
露出とは撮影する時の明るさのことです。スマホのカメラは写る範囲を平均的に演算して明るさを決めています。そのため多くの方がお気づきのように様々な色や明るさが混在している場合は、いわゆる「良い感じ」の明るさで写真が撮れます。
ところが背景が真っ白いところの前で人物を撮影したり、写真のように背景が黒いところで黒いものを撮影しようとすると予想に反して人物の顔が暗く写ったり、黒いものが明るくグレーっぽくなったりします。
さらに極端に明るいもの(照明など)が画面に入っていたりすると全体が暗く写ったりすることがあります。これはスマホのカメラが写そうとしている範囲の明るさの平均をとって、明る過ぎず、暗過ぎない写真を撮ろうとしている結果です。
スマホのカメラに限りませんが、カメラは写っているものが本来の姿として白いものなのか、黒いものなのかを判断することができません。
そのためカメラは、白いものを白く、黒いものを黒く撮影するのが自動調節機能の範囲内では苦手です。
先ずはこの点を覚えておくとカメラの扱いが上手くなります。
このようにスマホのカメラがいくら優秀とはいえ、写っているモノまでは判断できるところまで進歩していない現状では、そのような撮影する時には写真の明るさを調整する必要があります。(最新の AI 機能搭載のカメラはかなり優秀ですが、人の判断は必要です)
写真は iPhone のカメラの画面ですが、上の写真はカメラを向けてそのまま撮影した明るさです。
黒いボディが白っぽくなっていて、質感も雰囲気も意図したものではありません。
そこでカメラのレンズの付近をタップしてフォーカスと露出を調整するための四角を表示させます。
フォーカスを表す四角い枠の横の太陽マークを上下にドラッグさせると明るさを変えることができるので、すこし下にドラッグさせて全体の露出を暗めに調整しました。
その結果、カメラ本来の黒さで写すことができました。
このように意図しない結果になりそうな場合は、露出を積極的に調整しましょう。
ちなみに撮影データのプロパティを確認すると、今回の明るさ調整はカメラがシャッタースピードを速くすることで明るさを調整した結果、写真が暗くなって質感が向上しました。つまり絞りを調節したわけではないので被写界深度と呼ばれるピントが合っている範囲が増えたのではないために、奥までハッキリ写っているわけではありません。しかしながら黒が黒く写っているために全体としいて引き締まった印象を受けます。
次にホワイトバランスです。
スマホのカメラは基本的にはホワイトバランスを自動的に決めるオートホワイトバランスを使って写真の色を決めています。
オートホワイトバランスは写真が写る範囲の中にある色を自動的に読み取ることで、その場の照明の色を予想して判断しているため、画面の中の広い範囲を特定の色が占めてしまうと正しい判断ができなくなってしまう欠点を持っています。
サンプルの写真を見ていただくと背景の色によって全体の明るさと色味が微妙に変化しているのが見て取れます。
とくに明るい青系の背景の場合は、照明が青いと誤認したために暖色系に色が偏っています。
これは露出の時と同様に色も画面の中の構成を参照して白く見えるように調整をしているためです。
また照明の色による変化も認められます。
暖色系の照明で撮影したものでも黒い部分を見るとすべてが同じように写っていないことにお気付きになれると思います。
ここでも青系の背景の場合は、より暖色に偏った結果になっています。
それではこれを回避する方法はあるのでしょうか。
iPhone ではデフォルトのままではホワイトバランスを完全に自分でコントロールする方法はありません。
でき上った写真の色を後から調整することで対処するしかありません。
カメラに標準で装備されているのは自動的に調整するオートホワイトバランス機能なので、残念ながら iPhone ではホワイトバランスを手動で細かく調整することはできません。(暖色系や寒色系の調整は大雑把にはできますが、個々の調整は難しいのが現状です)
したがって「(自分の)スマホのカメラは〇〇ができない」との認識を持つことが重要です。
初めになんでもできる魔法の箱ではないことを理解しましょう。
とは言え、まったく対応策はないのかと言えば、そんなことはありません。
iPhone でも Android でもカメラアプリは優秀なものも多く、私も使用している Camera+ (有料)は、ピントのマニュアル調整やRAW撮影やホワイトバランスのプリセットも用意されていて、写真撮影のためにスマホのカメラを使いこなすためのツールが備わっています。
ただし、その場の照明の種類などを自分の眼で判断しなければなりませんから、多少の慣れは必要です。
また撮影後に調整することも可能です。
その場合も可能であれば専用のカメラアプリを活用して RAW データと呼ばれる色などを自由に調整できるデータでの撮影をお勧めします。そのデータをさらに画像処理ソフトを使用して色を調整すれば思った通りのデータを手に入れることができます。
このような機能やソフトを活用すれば写真の色味を安定させることができるようになるので、商品写真などの撮影でも色味に悩まなくて済むようになります。
無料にこだわって何とかできないか?とお考えの方は荒業を一つご紹介します。
画面に影響しそうな部分を白い紙で覆って、そのまま連写をします。撮影している間に白い紙を取り除くと、白い時のオートホワイトバランスの設定から実際に絵柄を構成する色に対応してホワイトバランスは再調整されますが、その短い時間は前の設定が残っているので白で覆った時のホワイトバランスでの撮影ができます。
ちなみに AE / AF ロックをした場合はオートホワイトバランスもロックされてしまうので変化はありません。
しかしうまくいけばサンプルのように薄い青系の背景色の色がしっかり出た写真を撮ることができます。
誰かにサポートしてもらったり、スマホを三脚につけての撮影になりますが、ダメもとでチャレンジしてみてください。
最後に露出やホワイトバランスを調整できたとして、その際に何を基準に調整するのかとの疑問を持たれると思います。
結論から言えば「自分の眼とスマホのモニターを信用してください」となります。
SNSなどで写真を共有する場合を想定すると解りやすいと思いますが、見る側のディスプレィやモニターの状況は千差万別で現実的に考えて、明るさや色で責任が持てる範囲を優に超えています。
プロであればウェブや印刷物で使用するための「破綻しないデータ作りと色の管理」が必須ですが、そのためには専門スキルと機材が必要です。しかしながら一般的に考えて、専門家でもない限りその部分にコストをかけるのは無駄です。
そこで私個人の基本姿勢をお伝えすると、明るさや色を管理する基準としては「白くあって欲しいものは白く、黒くあって欲しいものは黒く、グレーであって欲しいものはグレーに」を原理原則として調整するようにしています。
とは言えパッケージ写真のような正確性を求められる場合は、商品に忠実に再現します。
みなさんは「食べ物は温かみがあると美味しそう」とか「朝の雰囲気は青っぽい光だな」などの生活習慣からくる知識をお持ちです。
その記憶は写真撮影に活用できる判断基準ですので使いこなしていきましょう。
と言っても難しく考える必要はありません。
「こう見えて欲しい」「こんな色だと多くの人に理解してもらえる」といったスタンスで考えると楽しいですよ。