スポーツや運動会の撮影で注意するべきこと デジタル一眼編

 春の運動会シーズンは終わってしまいましたが、夏に向かってもお子さんの成長記録として様々なスポーツをするシーンを撮影する機会が増える方もいらっしゃることと思います。

 そんな中で「どんなところに注意するべきなのか、ピンポイントで教えて欲しい!」とのご意見をいただいたのでまとめてみました。

 この手の撮影はスマホやコンパクトデジタルカメラでは機材的に難しいので、デジタル一眼カメラをお持ちで、かつ望遠レンズをお持ちの方に向けたお話です。とはいえそのような機材を持っていない方でも参考になるようにしますので、読んでいただけると嬉しいです。

 

 さて運動に限りませんが撮影する場合の機材のセッティングが全てです。

ISO 感度は 800 以上、シャッタースピードは 1/1000 秒以上、絞りは F8 以上で撮影モードはマニュアルがベストですが、慣れていなければシャッタースピード優先にしましょう。

オート感度設定ができるカメラであればシャッタースピードと絞りを設定して感度を自動でコントロールさせるのも良い方法です。
AFはコンティニュアスモードで連写モードは最速にしましょう。

時間のない方、説明を読むのが面倒な方は、この設定で実践してみてください。

 

 

ここからは、それぞれの設定の理由を説明していきます。

まず感度設は定は晴天でも ISO800 以上にしてください。晴れているのだから感度を下げても良いんじゃないかと思われるでしょうが、カメラのシャッタースピードが1/8000秒まで対応できるのであれば ISO1600 でもいいくらいです。感度を上げるとノイズが出やすいとご存知の方も多いでしょうが、ノイズは画面の暗いところに出やすいものです。また少ない光を無理やり増幅している場合の画質の劣化は著しいですが、十分な光の中でのノイズや階調の欠落は目立ちません。

 

 シャッタースピードを速くする目的は決定的瞬間をピタッと止めるためです。

曇っている時でもシャッタスピードは 1/1000 秒はキープしましょう。

 

写真を趣味で楽しんでいる方の中には「晴れていたら ISO 感度は高くしない!」とこだわっている方もいると思いますが、画質を優先するがために中途半端にブレている写真よりも、その瞬間が止まっている写真の方が断然カッコいいです。サンプルの写真でもかかとから着地する瞬間の動きある中で楽しげな表情が見て取れると思いますが、これで顔の部分がブレていたりしたら、台無しですよね。
スポーツの写真を撮る場合、意図したブレ以外は無い方がキレイだなと私は感じています。

 

話は戻りますが、感度は高めにしてシャッタースピードを速く保ちましょう。

だからと言ってカメラのホールドはしっかりするようにしてください。

シャッタースピードが速いですが、望遠レンズを扱いなれていない方はしっかりホールドするように心がけてください。

 

絞りは望遠レンズを使用している限り、F8 よりも開く必要はありません。

後述する AF モードとも関連しますが、背景がボケている雰囲気のある写真よりも必要なところに必要なピントが合っている写真の方が断然良いです。

そのための担保として絞りを不必要に開けないで、確実に写真に収めるようにしましょう。

 

 AF(オートフォーカス)のモードはコンティニュアスモードにしましょう。コンティニュアスモードはシャッターボタンを半押ししている間からシャッターを切っている間、常に被写体を追い続けてくれます。

対してシングルモードは半押ししたところでフォーカスロックがかかってピントを固定してくれる設定が一般的なので動かない被写体に適しています。
 移動する被写体を撮影する場合、特に接近してくる被写体へのピント合わせは熟練を要しますが、最近のカメラに搭載されている AF 機能はとても優秀です。メーカーによっては顔追跡機能などもあり、狙った被写体の顔に常にピントが合うようにしてくれます。
カメラに備わっている便利な機能は使ってこそです。

ピントを検出するエリア設定もカメラによってシングルやゾーンなど多くの機能を持っています。
メーカーによって様々な機能を持っていますので、説明書やムック本を活用して自分のカメラを探求してみましょう。
私は普段からシングルモードしか使わないのですが、前述のようにある程度まで絞っているのでゾーンやエリアと呼ばれる特のな領域を対象としたモードも有効なので試してみましょう。

 

 ただし慣れが必要な機能でもあります。普段から多くの撮影をする機会がある方は良いのですが、あまり機会がない方はぶっつけ本番は避けたいところです。そこで私が良くやるのが当日の予行演習です。運動会であれば自分の子供より前の順番の子供で、他のスポーツであればチームメイトでも誰でも良いので行います。

同級生やチームメイトであれば、うまく撮れた写真は差し上げれば喜ばれますし、うまく撮れなくても練習にはなります。シャッターを切って撮影する必要はありませんが、撮影した写真を拡大して確認したい場合は撮影して確認後に削除します。子供の順番が一番初めだから練習できない!という場合でも運動場に入場するシーンや様々な場面で予行演習はできますので、やってみてください。

必ず良いことが起こります。

 次に連写モードの設定です。

連写モードは一番早く、数多く撮影できる設定にしましょう。

プロでもない限り、一撃必殺の撮影はシャッターチャンスを捉える確率が低くなります。

また連写をしたからと言って必ず良い写真だけが撮れるわけでもありませんが、確率は格段に上がります。

 

 写真を見ていただくと、顔の表情の違いが判ります。

向かって左側は空中に浮いているので表情は普通ですが、右の写真は着地した後なので顔の筋肉が重力と着地のショックで下がっていて顔つきが違います。

各カットの顔のアップを見ていただくと、その違いが解りやすいです。特に目の周りと口元が下がっているのが見て取れます。

人相が変わっていると言われかねない表情ですね。

着地のショックは想像以上に表情に影響を及ぼすことをご理解いただけたでしょうか。

 

 

 このようなことは良く起きるので、経験された方もいると思いますが、もし1カットしかない場合はこの写真をどうしますか?
こっそり削除しますか?特に気にすることなく渡しますか?

 

 もっと多く撮っていればよかったと後悔するのであれば、ガンガン連写しましょう。フィルムと違って消費するのはメモリーとバッテリーの電気だけです。ハッキリ言ってお金はかかりません。

 

このようにカメラを使いこなして良い思い出とともに良い写真を撮っていただければ嬉しいです。